Colossal社の脱絶滅6種|評価額1.5兆円の会社が挑むマンモス・ドードー・フクロオオカミほか【2026年10月時点】

DNA二重らせんのイメージ(Colossal社は古代DNAとCRISPRで絶滅動物復活に挑む) 動物の意外な話
DNA二重らせんのイメージ(Colossal社は古代DNAとCRISPRで絶滅動物復活に挑む)

「絶滅した動物は二度と戻ってこない」──この常識に、ある会社が正面から挑んでいます。

2025年4月7日、テキサス州ダラスの遺伝子工学企業コロッサル・バイオサイエンス(Colossal Biosciences)は、「1万2500年前に絶滅したダイアウルフ」として、ハイイロオオカミの遺伝子を書き換えた3頭(2024年10月と2025年1月に誕生)を発表しました。同社は「脱絶滅(絶滅した動物をよみがえらせること)に成功した」としていますが、国際自然保護連合(IUCN)の専門家グループは「ダイアウルフではない」との見解を出しています。

同社は2025年9月時点で累計5億5,500万ドル(約830億円)を超える資金を集め、評価額は103億ドル(約1.5兆円)です。同社のサイトに載っている絶滅動物は、2026年10月時点で次の6種です。

  • ケナガマンモス(誕生の目標は当初2028年。2026年8月に「2030年代前半」へ見直し)
  • フクロオオカミ(タスマニアタイガー)(研究中)
  • ドードー(2025年9月、ハトの仲間の生殖細胞のもとを増やすことに成功と発表)
  • ダイアウルフ(2025年4月に3頭を発表)
  • モア(ニュージーランドにいた飛べない巨大な鳥)
  • ブルーバック(南アフリカにいたレイヨウ)

このほか、マンモス計画の試験として、毛の長いマウス(ケブカマウス)を2025年3月に発表しています。

本記事では、同社の主な計画を、同社の発表・報道・研究者の見解をもとに、2026年10月時点の進み具合と、専門家の異論まで整理します。

  1. Colossal Biosciencesとは──ハーバード発・史上最大の脱絶滅ベンチャー
    1. 資金調達の歩み──評価額は103億ドルに
    2. 目的は「脱絶滅」だけではない
  2. プロジェクト1:ケナガマンモス(誕生は「2030年代前半」の見込み)
    1. 技術ルート:アジアゾウ×マンモス遺伝子
    2. 2025年のマイルストーン
    3. 2028年の目標は「2030年代前半」へ
  3. プロジェクト2:フクロオオカミ(タスマニアタイガー)
    1. 2022年開始・メルボルン大学との協業
    2. 2024年10月:99.9%ゲノム完成
    3. いつ生まれる?
  4. プロジェクト3:ドードー(2025年PGC培養成功)
    1. 2025年9月:同社が「世界初」とするPGCの培養
    2. 近い仲間のミノバトからドードーへ
  5. プロジェクト4:ダイアウルフ(2025年4月に「脱絶滅に成功」と発表)
    1. 3頭の子ども「ロムルス」「レムス」「カリーシ」
    2. 技術:ハイイロオオカミの14の遺伝子に20か所の書き換え
    3. 「本物のダイアウルフではない」批判
  6. マンモス計画の試験:ケブカマウス(2025年3月発表)
    1. マンモス計画の”前哨戦”
    2. 書き換えた遺伝子
  7. 技術的仕組み:古代DNA×CRISPR×PGC/iPSCの3階建て
    1. 層1:古代DNA解析(Ancient DNA)
    2. 層2:CRISPR-Cas9による多重遺伝子編集
    3. 層3:胚培養・代理親出産
  8. 倫理的議論・生態系への影響
    1. 賛成派の主張
    2. 反対派の主張
    3. IUCNの指針(2016年)
  9. 2030年に向けた展望──「絶滅の逆転」は現実か
  10. この話は、編集部の本にもまとめています
    1. 『人間が消した動物、人間が戻した動物 絶滅・回復・脱絶滅 ドードーからマンモス復活計画まで、出典つきで読む15の実話』(いきもの謎解き図鑑)
  11. 関連記事
    1. 参考文献・一次資料
  12. 編集部の考察:1.5兆円が『過去』に投資される時代
    1. この記事を書くにあたって

Colossal Biosciencesとは──ハーバード発・史上最大の脱絶滅ベンチャー

Colossal Biosciencesは2021年9月、以下の2人が共同創業したテキサス州ダラス拠点の遺伝子工学企業です。

  • ジョージ・チャーチ博士(Harvard Medical School教授・ヒトゲノム計画の中核・CRISPR-Cas9応用の第一人者)
  • ベン・ラム氏(連続起業家・現CEO)

資金調達の歩み──評価額は103億ドルに

Colossal社の資金調達履歴は、脱絶滅事業への投資家の本気度を示しています。

  • 2021年9月:1500万ドル(創業時)
  • 2022年3月:6000万ドル
  • 2023年1月:シリーズB・1億5000万ドル
  • 2025年1月:シリーズC・2億ドル(TWG Global主導・評価額102億ドルに到達/テキサス初の”デカコーン”)
  • 2025年9月:シリーズC追加・1億2000万ドル(ドードーPGC発表と同時/評価額103.2億ドル)
  • 累計:5億5,500万ドル(約830億円)超・評価額103億ドル(約1.5兆円)(2025年9月時点)

投資家には映画監督ピーター・ジャクソン、TWG Global、Breyer Capital、In-Q-Tel(CIAのVC)など、テック・映画・国防領域の著名投資家が名を連ねます。

目的は「脱絶滅」だけではない

Colossal社は自らを”脱絶滅企業”と呼ぶ一方、副次的な事業として次の3つを掲げています。

  1. 絶滅危惧種の保護技術(マンモス技術のアジアゾウ保全応用等)
  2. 永久凍土のメタン放出抑制(マンモス復活と草原生態系の連動)
  3. スピンオフ企業の創出(Form Bio・Breaking等のバイオテック子会社)

プロジェクト1:ケナガマンモス(誕生は「2030年代前半」の見込み)

シベリア永久凍土の風景(マンモス復活の舞台)

Colossal社の看板プロジェクトがケナガマンモス(Mammuthus primigenius)の復活です。最後の集団が約4,000年前にウランゲル島で消えたこの氷河期の巨獣を、アジアゾウをベースに遺伝子編集で”復元”する計画。

技術ルート:アジアゾウ×マンモス遺伝子

  • マンモスとアジアゾウのDNAは99%以上が同じとされる
  • 寒冷適応に関与する遺伝子(TRPV3=感覚受容体、ヘモグロビン変異体、脂肪蓄積遺伝子、毛量関連遺伝子)を特定
  • ゾウの細胞の遺伝子を書き換え、寒さに強く長い毛をもつゾウの胚を作る計画(胚はまだできていない)。書き換えが必要な遺伝子は、当初の約60から約150に増えた(2026年8月、TIME)

2025年のマイルストーン

2025年3月には、マンモス計画の試験として、毛の長いマウス(ケブカマウス)を発表しました(くわしくは下の節)。

2028年の目標は「2030年代前半」へ

アジアゾウの妊娠期間は22ヶ月。CEOベン・ラム氏はこれまで「2028年末までに最初の子を誕生」と話していましたが、2026年8月の米TIME誌の取材で「2030年代前半になると考えている」と見直しました。超えるべきハードルはまだ複数あります。

  • ゾウ卵子の体外採取・成熟培養(未確立)
  • 人工子宮または代理母アジアゾウでの妊娠管理
  • アジアゾウ自体が絶滅危惧IB類(代理母利用の倫理問題)

詳しいマンモス復活プロジェクトは別記事「マンモス復活計画はいつ?──コロッサル社の計画と「本物ではない」理由」でも解説しています。

プロジェクト2:フクロオオカミ(タスマニアタイガー)

タスマニアの原生林(タスマニアタイガー復活の舞台)

フクロオオカミ(Thylacinus cynocephalus)は、オーストラリアのタスマニア島などにいた有袋類の肉食獣です。タスマニア政府が保護を決めたのは1936年7月10日。その59日後の9月7日、ホバートの動物園で最後の飼育個体が死にました。

2022年開始・メルボルン大学との協業

Colossal社は2022年8月16日、フクロオオカミ復活プロジェクトを発表。オーストラリア・メルボルン大学のアンドリュー・パスク教授(TIGRR Lab主宰)と提携し、次のロードマップを進めています。

  • フクロオオカミの全ゲノム解読
  • 有袋類近縁種ファットテール・ダナート(Sminthopsis crassicaudata)のiPS細胞樹立
  • フクロオオカミらしい特徴(縞模様・顎の形など)に関わる遺伝子の特定と書き換え

2024年10月:99.9%ゲノム完成

2024年10月、Colossal社はフクロオオカミの全ゲノムを99.9%完成度で再構築したと発表。標本からRNA(遺伝子が働いた跡)を取り出すことにも成功したとしています。

いつ生まれる?

誕生の時期について、同社は今のところはっきりした年を示していません。詳しい生態や絶滅史は「タスマニアタイガー(フクロオオカミ)完全ガイド|1936年9月7日──保護から59日後の悲劇」で解説しています。

プロジェクト3:ドードー(2025年PGC培養成功)

ドードー(Raphus cucullatus)は、モーリシャス島にのみ生息した飛べない大型のハトの仲間。1598年にオランダの船が来てから、最後の確かな目撃(1662年)まで64年。人間が原因で絶滅した動物の象徴です。

2025年9月:同社が「世界初」とするPGCの培養

2025年9月17日、コロッサル社は、精子や卵子のもとになるハトの仲間の始原生殖細胞(PGC)を増やすことに史上初めて成功したと発表しました(2026年5月に学術誌に論文が掲載)。鳥は胚が卵の殻の中で育つため、このような細胞を使う方法が欠かせません。同時に追加1億2000万ドル(約180億円)の資金調達も発表しています。

近い仲間のミノバトからドードーへ

手法は次の通り:

  1. デンマーク自然史博物館の標本からドードーDNAを抽出・全ゲノム解読(ベス・シャピロ博士=当時カリフォルニア大学サンタクルーズ校、現在は同社の最高科学責任者)
  2. 最も近い現生の鳥ミノバト(Caloenas nicobarica)とゲノムを比べ、ドードーとの違いを探す(これから)
  3. 書き換えたミノバトのPGCを、自分の生殖細胞を作らないよう遺伝子を変えたニワトリに入れて、ドードーに近づけたミノバトの子を得る(これから)

同社は2025年9月の発表で、ドードーが戻るまでを5〜7年としました。この数字どおりなら2030〜2032年頃です。詳しくは「ドードー復活はいつ?──コロッサル社のハトの細胞の研究と「本物ではない」理由」を参照。

プロジェクト4:ダイアウルフ(2025年4月に「脱絶滅に成功」と発表)

コロッサル社の看板の発表が、2025年4月7日のダイアウルフ(Aenocyon dirus)です。1万2500年前に絶滅した大型のオオカミを「よみがえらせた」とする発表は、TIME誌の表紙にもなりました。ただし下で書くように、「本物ではない」という批判があります。

3頭の子ども「ロムルス」「レムス」「カリーシ」

  • ロムルス(オス・2024年10月1日誕生)
  • レムス(オス・2024年10月1日誕生)
  • カリーシ(メス・2025年1月30日誕生)

同社によると、3頭は非公開の約2000エーカー(約8平方キロメートル)の保護区で飼育されています。

技術:ハイイロオオカミの14の遺伝子に20か所の書き換え

コロッサル社は、ハイイロオオカミの細胞の14の遺伝子に、合わせて20か所の書き換えをして、ダイアウルフらしい特徴(大きな体・白い毛など)を再現したとしています。

「本物のダイアウルフではない」批判

科学界からは「これは遺伝子改変ハイイロオオカミであり、本物のダイアウルフではない」との批判もあります。ダイアウルフは、ハイイロオオカミと同じイヌの仲間ですが別の属(Aenocyon)で、2021年の研究では約570万年前に枝分かれしたと推定されています。20か所の書き換えで、どこまでダイアウルフと呼べるかは議論が続いています。国際自然保護連合(IUCN)のイヌ科の専門家グループは、2025年4月に「3頭はダイアウルフではない」との見解を出しました。

Colossal社は「機能的な脱絶滅(functional de-extinction)」という用語で応答。「見た目・生態・生態系役割を再現できれば十分に価値がある」との立場です。

マンモス計画の試験:ケブカマウス(2025年3月発表)

研究室で顕微鏡を覗く科学者(CRISPRによる遺伝子編集のイメージ)

2025年3月4日、Colossal社はケブカマウス(Colossal Woolly Mouse)を発表しました。マウスの7つの遺伝子に、合わせて8か所の書き換えを同時に入れ、金色の巻き毛・長い毛を持つマウスを誕生させた技術デモです。一部の書き換えでは、狙った細胞のほぼすべてで書き換えができたとしています。

マンモス計画の”前哨戦”

マウスの妊娠期間は約20日と短く、ゾウの22ヶ月と比べて30倍以上速く試すことができます。ただし、マウスでうまくいったことが、そのままゾウでもうまくいくとは限りません。

書き換えた遺伝子

  • FGF5:毛の長さ(働かなくすると毛がとても長くなる)
  • MC1R:毛色(金色化)
  • FAM83G・FZD6・TGM3:巻き毛・波打ち毛の形成
  • TGFA:ふさふさした毛の質感(働かなくした)
  • KRT27:マンモスと同じアミノ酸1つの違いを入れた(毛の質感)
  • FABP2:脂肪の取り込みに関わる(マンモスではこの遺伝子が途中で止まっている)

同社は、これらをマンモスの計画に生かすとしています。

技術的仕組み:古代DNA×CRISPR×PGC/iPSCの3階建て

Colossal社の共通技術スタックは3層で構成されます。

層1:古代DNA解析(Ancient DNA)

絶滅動物の標本(永久凍土のマンモスの組織、博物館のドードーの骨、アルコール漬けのフクロオオカミの標本など)からDNAを取り出します。DNAは死後に細かくちぎれていくため、ごく短い断片を高速の読み取り装置で読み、コンピュータでつなぎ合わせてゲノム全体を組み立てます。同社でこの分野を率いるのは、最高科学責任者のシャピロ博士です。

層2:CRISPR-Cas9による多重遺伝子編集

近い仲間の現生種のゲノムに、絶滅種に特有の違いを数十〜数百か所、同時に入れます。同社は、複数の遺伝子を一度に書き換える技術の開発を進めています。

層3:胚培養・代理親出産

編集済み体細胞から核移植クローニングで胚を作出。哺乳類は代理母、鳥類はPGC(始原生殖細胞)を代理親に移植する経路を選択します。有袋類はさらに複雑で、メルボルン大学は2024年10月、受精卵を人工の子宮で妊娠期間の半分以上育てることに成功したと発表しています。

倫理的議論・生態系への影響

Colossal社のプロジェクトは、科学的正当性以上に「復活させるべきか?」という倫理論争を巻き起こしています。

賛成派の主張

  • 人類が絶滅させた種は復元する道義的責任がある(特にドードー・タスマニアタイガー)
  • マンモス草原の再生で永久凍土のメタン放出を抑制できる可能性(Colossal社主張・要検証)
  • 技術は現存絶滅危惧種の保護に転用できる(アジアゾウ・ノーザン・ホワイト・ライノ等)

反対派の主張

  • 復活個体は「機能的コピー」であって本物ではない(ダイアウルフ論争の核心)
  • 絶滅の元凶である生息地喪失・気候変動が未解決のまま復活させる意味
  • 巨額資金が現存絶滅危惧種保護から流出(IUCNのレッドリストでは、4万種を超える動植物が絶滅の危機にあるとされる)
  • 代理母となるアジアゾウ自体が絶滅危惧IB類・実験動物化の倫理

IUCNの指針(2016年)

国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会は2016年、絶滅した種の「代わり(proxy)」を作ることについての指針を出しました。よみがえらせた動物を元の種そのものではなく「代わり」として扱い、自然を守ることに役立つかどうかで判断するよう求めています。

2030年に向けた展望──「絶滅の逆転」は現実か

Colossal社のロードマップを2026年時点で整理すると、次の通りです。

  • 2025年(発表済み):ダイアウルフ3頭(2024年10月・2025年1月誕生)・ケブカマウス・ドードーのPGC培養
  • マンモス:2030年代前半(2026年8月に、当初の2028年から見直し)
  • ドードー:2030〜2032年頃(2025年9月時点の「5〜7年」の見通し)
  • フクロオオカミ・モア・ブルーバック:はっきりした年は示されていない

もちろんスケジュール通りに進むとは限りません。実際にマンモスの予定は、2028年から2030年代前半へ延びました。

それでも私たちの世代は、「絶滅したら終わり」という常識が問い直される場面に立ち会っています。ただし、何を「復活」と呼べるのかという議論は、まだ続いています。

この話は、編集部の本にもまとめています

Colossal社の発表は次々に出ますが、それぞれの動物がなぜ消えたのか、計画のどこに専門家の異論があるのかまでは、発表を追うだけでは分かりません。会社の発表と研究者の評価が、別々の英語の資料に分かれているためです。編集部では、消えた経緯と復活の計画を同じ1冊に並べ、出典をつけてまとめました。

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『人間が消した動物、人間が戻した動物 絶滅・回復・脱絶滅 ドードーからマンモス復活計画まで、出典つきで読む15の実話』(いきもの謎解き図鑑)

人間が消してしまった動物、消しかけてから戻した動物、そしてよみがえらせようとしている動物の歴史を、15の実話でたどる読み物です。各章に出典をつけ、「研究者の見方が分かれるところ」と「いまも分かっていないこと」も分けて書きました。Colossal社の計画は第14章で、同社が復活を目指すフクロオオカミとドードーが消えた経緯は、序章と第1章で扱っています。

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関連記事

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参考文献・一次資料

  • Colossal Biosciences 公式サイト https://colossal.com/
  • Colossal Press Release “Colossal Announces World’s First De-Extinction: Birth of Dire Wolves” (April 7, 2025)
  • Colossal Press Release “Colossal Creates the Colossal Woolly Mouse Showcasing Breakthroughs in Multiplex Genome Editing and Trait Engineering on the Path to a Mammoth” (March 4, 2025)
  • Colossal Press Release “Colossal Advances Dodo De-Extinction with Significant, World’s First Breakthrough in Pigeon PGCs” (September 17, 2025)
  • Colossal Press Release “Colossal Achieves Multiple Scientific Firsts in Progress Towards Thylacine De-Extinction” (October 2024)
  • Palkopoulou, E. et al. “Complete Genomes Reveal Signatures of Demographic and Genetic Declines in the Woolly Mammoth” Current Biology (2015)
  • Shapiro, B. “How to Clone a Mammoth: The Science of De-Extinction” Princeton University Press (2015 / 2020 改訂)
  • TIME Magazine Cover Story “The Return of the Dire Wolf” (April 2025)
  • Andrew Pask (TIGRR Lab, University of Melbourne) 公式サイト
  • IUCN SSC “Guiding Principles on Creating Proxies of Extinct Species for Conservation Benefit” (2016)
  • TIME (2026-08-24) マンモスの誕生予定についての Ben Lamm 氏の発言
  • Nicholson et al. “Long-term rock dove (Columba livia) primordial germ cell culture: A tool towards avian conservation” Journal of Heredity 117(5) (2026) doi:10.1093/jhered/esag045
  • Dallas Innovates (2025-09-17) 資金調達と評価額

編集部の考察:1.5兆円が『過去』に投資される時代

Colossal Biosciencesの評価額1.5兆円が意味するのは、単なるバイオテック企業の成功物語ではありません。編集部が注目するのは、人類がこれまで「取り返せないもの」として扱ってきた絶滅を、投資対象の「未回収の資産」として捉え直す価値観の転換です。マンモス・ドードー・タスマニアタイガー──いずれも人為的な絶滅、あるいは人為が引き金の絶滅です。加害者側の子孫である私たちが、莫大なリソースを投じて復活を試みることに倫理的な違和感を持つ読者もいるでしょう。編集部としても、この技術は「絶滅させても復活できる」という危険な楽観論の免罪符になり得る側面を否定しません。しかし同時に、脱絶滅技術で開発されたゲノム編集・代理母技術は、現存する絶滅危惧種の遺伝的多様性回復にも転用可能です。1.5兆円の評価は「過去のやり直し」ではなく「現在進行中の絶滅を止める技術基盤」への投資として読むべきだ、というのが本メディアの見立てです。

この記事を書くにあたって

本記事の執筆にあたり、いきもの謎解き図鑑編集部は以下の資料を精査しました。動物学の分野は日々進歩するため、公開後も新研究が出た場合は追記・訂正を行います。誤りのご指摘はお問い合わせフォームからいただければ幸いです。

  • Colossal Biosciences公式発表
  • IUCN Red List
  • Perri, A.R. et al. (2021) Nature 591: 87–91(ダイアウルフの系統)

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