シジュウカラは20語以上を使い分ける|「ジャージャー」を耳で確かめる方法

枝にとまるシジュウカラ 動物の意外な話

「ジャージャー」はヘビ、「ピーツピ」は警戒。シジュウカラが20以上の単語を使い分け、それを組み合わせて文をつくっているという研究は、ニュースでも書籍でもすっかり有名になりました。当サイトでも、その研究の中身を鈴木俊貴博士が解読したシジュウカラの言葉という記事で解説しています。

ところが、読んだあとに散歩へ出ると、たいていの人が同じところでつまずきます。木の上から確かに声は聞こえるのに、それが「ジャージャー」なのかどうか、自分では判断できないのです。

知識としては知っている。でも、耳では確かめられていない。この記事は、その状態をどう抜けるかについて書きます。

口を開けて鳴くシジュウカラ
鳴いている最中のシジュウカラ。この声が「どの単語」なのかは、文字を読んだだけでは判別できない。

なぜ「読んだのに、聴けない」が起きるのか

原因は理解力ではありません。文字というメディアの構造そのものにあります。

1. カタカナは音そのものではない

「ジャージャー」という表記は、研究者が人間の言葉に置き換えた見出しであって、音の高さでも、長さでも、間の取り方でもありません。同じ声を聞いても、人によって「ジャージャー」と書く人もいれば「ジリジリ」と書く人もいます。表記から音を復元しようとすると、ここで必ずずれが出ます。

2. 声は「状況とセット」でないと意味が決まらない

シジュウカラの単語は、どんな場面で発せられたかと切り離せません。ヘビが近づいたときの声なのか、仲間を呼び集めているときの声なのか。音だけを単独で聞いても、意味の側は分からないままです。逆に言えば、声と状況が一続きで耳に入ってきたときに、はじめて「単語」として頭に残ります

3. 研究で使われた音に触れる機会が、日常の中にない

実験で使われた音源そのものに触れる機会は、ふつうに暮らしていてまず訪れません。動画を探しても、撮影者の解説や風の音が混ざったものが多く、「これが実験で使われた声だ」と言い切れるものにはなかなか行き当たりません。

シジュウカラが暮らす林

声を確かめられること自体が、実は例外的な状態

少し遠回りに聞こえるかもしれませんが、大事な前提を一つ置かせてください。「今いる鳥の声を、自分の耳で確かめられる」というのは、当たり前のことではありません。

ドードーが地球上から姿を消したのは17世紀のことです。人間が音を記録できるようになったのは、エジソンが蓄音機を発明した1877年から。つまり、ドードーの声は原理的にひとつも残っていません。姿の記録は絵画や骨として残っても、声だけは永久に失われました。当サイトで追いかけてきたドードーの復活計画や、1936年に最後の1頭が死んだフクロオオカミ発見から27年で消えたステラーカイギュウも同じです。

その意味で、シジュウカラの声は「まだ確かめられる側」にあります。聴こうと思えば、今日からでも聴ける。それが例外的にめぐまれた状況だと分かると、散歩の意味も少し変わってきます。

まず、お金をかけずにできること

順番としては、無料でできるところから始めるのが確実です。

  • 研究の中身を押さえる──どの実験で何が分かったのかを知らないまま音を聞いても、判断の基準がありません。シジュウカラの言葉の解説記事で、3つの実験の結論だけでも先に入れておくと、聞こえ方が変わります。
  • 動画で概要をつかむ──当チャンネルでも短い動画にまとめています。

それでも残る「音の壁」を越える方法

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ここまで無料の手段を挙げましたが、最後に残る壁は変わりません。解説を読んでも、声そのものは文字からは出てこないという壁です。

この壁に対して、現状ひとつだけ、構造から解決している商品があります。研究者本人である鈴木俊貴氏の著書『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)の音声版です。版元である小学館の発表によると、このオーディオブック版には、本文中に実際のシジュウカラ語が流れるしかけがあります(小学館 2025年7月4日 ニュースリリース)。

研究の話の流れの中に本物の声が差し込まれるので、「どの状況で、どの声か」が最初からひと続きで耳に入ります。先ほど挙げた原因の1と2を、同時に外せる形式になっているということです。紙の本や電子書籍では、この部分だけは再現できません。

書誌情報は次のとおりです(2026年9月19日時点・Audible公式ページで確認)。

  • タイトル:僕には鳥の言葉がわかる(小学館)
  • 著者:鈴木 俊貴/ナレーター:吉村 海空
  • 再生時間:5時間14分/配信日:2025年7月4日
  • 価格:単品購入 2,110円/プレミアムプラン聴き放題対象
  • 評価:5段階中4.9(607件のカスタマーレビュー)

紙の書籍は刊行から5か月で12万部を突破しており(小学館 ニュースリリース)、内容そのものの評価は先に定まっています。音声版を選ぶ理由は「読む時間がない」ではなく、声が入っているという一点です。

作品ページはこちらから確認できます。

オーディオブックAudible

あわせて聴ける2冊

同じく聴き放題の対象になっている作品から、当サイトの記事と地続きのものを2冊挙げておきます(いずれも2026年9月19日時点でプレミアムプラン聴き放題対象)。

  • 『動物たちは何をしゃべっているのか?』(山極寿一・鈴木俊貴/4時間22分/2025年11月21日配信)──ゴリラ研究者とシジュウカラ研究者の対話。動物の「言葉」をどこまで言葉と呼べるのかという議論そのものが主題です。
  • 『大量絶滅はなぜ起きるのか 生命を脅かす地球の異変』(尾上哲治/ブルーバックス/4時間51分/2024年3月15日配信)──声が残らなかった動物たちの側の話。当サイトの絶滅関連記事を読んだ方は、こちらのほうが近いかもしれません。

先に知っておきたい注意点

良い面だけ並べても判断材料になりませんので、調べた範囲で注意点も挙げておきます。

  • 聴き放題の対象作品は入れ替わります。上に挙げた3作品は2026年9月19日時点で対象でしたが、聴き始める前に作品ページで対象かどうかを確認してください。
  • 無料体験は初めての方が対象です。過去に利用したことがある場合、条件が異なることがあります。
  • 30日間の無料体験のあとは月額1,500円で自動更新されます(退会はいつでも可能)。体験期間内に聴き終える前提なら、この点を先に把握しておいたほうが安全です。
木々に囲まれた並木道

明日の散歩で試す3ステップ

最後に、具体的な手順に落としておきます。

  1. 出かける前に、該当部分だけ聴く。全部を通して聴く必要はありません。シジュウカラ語が流れる箇所を1回聴くだけで、耳の基準ができます。
  2. 散歩中、1回だけ足を止める。聞こえた声をその場で判断しようとせず、「高いか低いか」「短く切れるか、伸びるか」の2点だけを意識します。
  3. 帰ってから答え合わせをする。解説記事に戻り、その声がどの単語に近いかを確認します。

1回で当たる必要はありません。当たらなかったという結果も、耳の基準が一段細かくなったという意味では前進です。声を確かめられる動物が目の前にいるうちに、確かめておく価値はあると思います。

参考文献・出典

  • 小学館 ニュースリリース「『僕には鳥の言葉がわかる』オーディオブック版」(2025年7月4日)
  • Audible 作品ページ『僕には鳥の言葉がわかる』(2026年9月19日 確認)
  • Audible 作品ページ『動物たちは何をしゃべっているのか?』『大量絶滅はなぜ起きるのか』(2026年9月19日 確認)

画像クレジット

  • アイキャッチ:Japanese Tit (Parus minor) by Thomas Brown/CC BY 2.0/Wikimedia Commons
  • 鳴くシジュウカラ:Calling by Charles Lam/CC BY-SA 2.0/Wikimedia Commons
  • 林・並木道:Pexels(Lauri Poldre/Sim Sam)

記載の価格・配信条件は2026年9月時点で各公式サイトが公開している情報です。最新の内容は公式サイトでご確認ください。

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